秀逸なデザインのオフィスは、社員のモチベーションを確実に向上させます。
また、デザインに敏感な若い世代にとっては、就業先を決める時の判断材料としてオフィス環境は大きな比重を占めているようです。
高度成長期には単なる機能的な執務環境だったオフィスは、今や快適さによって評価され、有能な人材を集めるための必須のツールとなってきています。
オンオフのメリハリが付きやすいオフィス
【施工事例:株式会社寺田倉庫様】
執務空間をデザインする場合、エントランスを経てオフィスに入り自分のデスクに座った時、仕事のモチベーションが最高になるようなデザインが理想です。 このためには、外からデスクに至るまでのシークエンスにおいて、さまざまなレベルで心理的な緊張感を高める設えを組み込んでおく必要があります。このような効果を持つ建築的要素を「結界(けっかい)」と呼びます。
例えば、暖簾をくぐる時、人はそこに空間的な境界を意識します。
このような結界としての要素を明示的にデザインに取り入れます。
オフィスデザインで多用される要素としては「ゲート gate」があります。
エントランスや各機能空間への入り口には、ゲート的要素を配置して空間の意味を言外に伝達します。
このようなゲートをシークエンス上に複数配置することで、モチベーションを次第に高めてゆきます。
コンセプトがはっきり伝わるオフィス
オフィスデザインを考える時、コンセプトの基本となるものは、経営理念や社是です。
その組織が顧客に対して提供する商品・サービスに持たせたいイメージを空間的に表現します。
まず、コンセプトを最も強調すべき場所はオフィスのエントランス部分です。
来訪者に一瞬で経営理念を理解させることが理想形です。
また、執務空間も提供する商品・サービスに合わせた信頼性のあるデザインとします。
経営陣としては、経営理念や社是について社員の深い理解を求めたいところですが、抽象的な概念を言葉で共有することは限界があります。
そのような場合には、オフィスデザインによって抽象的なものを具体的なカタチとして提示することが可能です。
例えば、組織にとっての社員の扱いは、オフィスデザインによって判断可能です。
社員の存在が貴重なものであれば、相応のデザインがなされ、社員もそのことを了解し、労使の良好な関係構築につながります。
ブランディングがしっかりできているオフィス
ブランディングとは、一般的にマーケティングの際に問題となるイメージ共有手法のことです。
名前、ロゴ、コピーなどを用いて、あるブランドの共通イメージを訴求します。
オフィスデザインにおいても、このようなブランディング手法は有効です。
組織全体や個別の商品の持つブランドイメージをそのままオフィスでも援用することで、そこで働く社員や訪問者に対してブランドの意味付けを感覚的に理解してもらうことが可能となります。
主に有効な操作対象要素は、色や素材です。
例えば「透明感」、「クールさ」などがブランドイメージのキーワードであれば、壁面・床面・天井の色を寒色系で合わせます。
素材にはメタルやガラスなどを用います。
ロゴイメージなどはガラス表面にセラミックプリントなどでシルクスクリーン印刷にすれば現代的な印象を強調できます。
効果的に色や形を配置しているオフィス
「形」に関しては、コントラスト・反復・重心・シンメトリー・黄金比/白銀比などの造形理論があります。
これらを適用されたオフィスは統一感や信頼性・安定感を醸し出す空間となります。
しかしながら、コストパフォマンスという点からオフィスデザインで多用される要素は「色」です。
レッド・オレンジ・イエローなどの暖色が視覚情報として脳に伝達されると代謝があがることが知られています。
これは心理的な興奮状態を誘発し、モチベーションの向上効果につながります。
逆に、ブルー・グリーンなどの寒色は代謝を下げて精神状態を落ち着ける効果があります。
この使い分けと仕事への影響を考えると、執務空間に暖色系のインテリアを配せば、仕事のやりがいが感じやすい空間となります。
また、会議室を寒色系で統一すれば、感情的になることを抑制し、建設的な議論が可能となる心理状態を維持させる効果があります。
インテリアやグリーンを上手に活かしたオフィス
オフィスを移転すると社員の生産性が向上することが知られています。
人は環境からの刺激で精神状態が影響を受けますが、同じ空間で活動しているとモチベーションが低下して、いわゆるマンネリ化に陥ります。この心理状態を更新する操作がオフィスの移転なのです。
「更新」の方法にはいくつかありますが、最もコストパフォーマンスが高いものとして、インテリアやグリーンを適期的に交換する方法があります。
特に、プランターなどの観葉植物はデザイン更新要素としてばかりではなく、空気清浄効果・視覚疲労緩和効果・湿度調整効果などをもつため、二重の意味で生産性の向上が期待できます。
このように、おしゃれなデザインのオフィスは、コンセプトやブランディングの媒介要素としてだけではなく、色や形への配慮・インテリアやグリーンの更新によって社員のモチベーションを引き出すツールとなっています。