
オフィス移転は、企業の成長や働き方改革を実現する大きなチャンスである一方、担当者にとっては非常に負荷の高い一大プロジェクトでもあります。「急に担当を任されたけれど、何から手をつければいいかわからない」「今の時期から準備して間に合うのだろうか?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
一般的に、オフィスの移転には「6ヶ月〜1年前」という長い準備期間が必要と言われています。スケジュール管理をひとつ間違えれば、通常業務への支障やコストの増加、最悪の場合は希望時期に移転できないといったリスクも招きかねません。
そこで本記事では、オフィス移転を成功に導くために不可欠な「スケジュールの全体像」から、漏れなく準備を進めるための「時期別やることリスト」、そして「失敗しないための管理ポイント」までを網羅的に解説します。
初めて移転を担当される方でも、この記事を読めばプロジェクトの全体像を把握し、安心して計画を立てられるようになります。綿密なスケジュールを組み、理想のオフィス移転を実現させましょう。
目次

オフィス移転にかかる期間の目安
オフィス移転プロジェクトを開始するにあたり、まず把握しておかなければならないのが「どれくらいの期間が必要なのか」という点です。多くの企業にとって、移転は数年に一度、あるいは十数年に一度のイベントであり、その時間感覚を正確に持っている担当者は多くありません。
スケジュール管理の重要性
オフィス移転におけるスケジュール管理は、プロジェクトの成否を分ける重要な要素です。なぜなら、オフィス移転には、物件の解約・契約、内装工事、回線工事、引越し作業、官公庁への届出など、多岐にわたるタスクが複雑に関係し合っているからです。
例えば、現在のオフィスの解約予告は、一般的に退去の6ヶ月前に行う必要があります。もし、このタイミングを逃してしまうと、新旧両方のオフィスの賃料を二重に支払う期間(ダブルレント)が長引いてしまい、無駄なコストが発生します。また、内装工事や家具の手配が遅れれば、移転日に業務を開始できないという事業リスクにも直結します。
さらに、昨今は建設業界や物流業界の人手不足が深刻化しており、希望する日程で業者を手配することが難しくなっている現状もあります。余裕を持ったスケジュールを組み、早めに行動を開始することは、コスト削減だけでなく、リスク管理の観点からも極めて重要です。
オフィス移転にかかる「期間」の目安は「6ヶ月~1年前」から
一般的なオフィス移転において、検討開始から移転完了までに必要な期間の目安は、「6ヶ月~1年前」です。
- 小規模オフィス(~30坪程度): 最短で3~4ヶ月程度で可能な場合もありますが、余裕を持つなら6ヶ月前からのスタートが推奨されます。
- 中規模オフィス(50坪~100坪程度): 6ヶ月~8ヶ月程度の期間が必要です。レイアウトや内装にこだわる場合は、さらに時間が必要です。
- 大規模オフィス(100坪以上): 1年前、あるいはそれ以上前からのプロジェクト始動が一般的です。関係者が多く、意思決定に時間がかかるためです。
この期間には、物件探しだけでなく、移転の目的(コンセプト)策定、レイアウト設計、業者選定、工事期間などがすべて含まれます。「物件が見つかってから考えればいい」と思っていると、あっという間に時間が足りなくなります。まずは「移転希望日の1年前」をひとつの目安として、動き出すことを強くおすすめします。
オフィス移転スケジュールの全体像と流れ
オフィス移転の工程は、大きく5つのフェーズに分けることができます。全体像を把握することで、現在どの位置にいて、次に何をすべきかが明確になります。
フェーズ1:計画・準備フェーズ(移転の目的と要件定義)
プロジェクトの最初に行うべきなのは、「なぜ移転するのか」という目的の明確化です。「人員が増えて手狭になった」「賃料を削減したい」「社員のモチベーションを上げたい」「ブランディングを強化したい」など、企業によって理由は様々でしょう。
このフェーズでは、以下の項目を決定します。
- 移転の目的(コンセプト):どのようなオフィスにしたいか、働き方をどう変えたいか。
- 移転時期:いつまでに移転を完了させるか。
- 予算:移転にかかる総費用(引越し費用、内装工事費、敷金など)の上限。
- 条件整理:希望エリア、広さ、必要な設備、セキュリティ要件など。
これらがブレてしまうと、後の物件選びやレイアウト設計で迷走することになります。特に、経営層の意向をしっかりとヒアリングし、プロジェクトチーム内で共有しておくことが不可欠です。
フェーズ2:物件選定・契約フェーズ(新旧オフィスの契約)
要件が固まったら、具体的な物件探しに入ります。不動産仲介会社に条件を伝え、候補物件の提案を受けます。
このフェーズのポイントは以下の通りです。
- 内覧(内見):図面だけでは分からない、日当たり、眺望、共用部の清潔さ、周辺環境などを現地で確認します。
- 入居申し込み・審査:気に入った物件が見つかったら申し込みを行い、オーナー側の審査を受けます。
- 賃貸借契約の締結:契約条件(賃料、共益費、契約期間、更新料など)を細かく確認し、契約を結びます。
- 現オフィスの解約予告:新オフィスの入居までのスケジュールの目処が立ったら、現在のオフィスの管理会社へ解約通知を出します。多くの契約では「6ヶ月前予告」となっているため、タイミング調整が非常にシビアです。
フェーズ3:設計・工事フェーズ(新オフィスの環境構築)
新オフィスが決まったら、いよいよ具体的な空間づくりが始まります。ここが、従業員の働きやすさや満足度を左右する最もクリエイティブな工程です。- レイアウト設計:執務スペース、会議室、リフレッシュスペースなどの配置を決めます。最近では、固定席を設けないフリーアドレスや、業務内容に合わせて場所を選べるABW(Activity Based Working)を導入する企業も増えています。
- 内装デザイン・設備設計:壁紙、床材、照明、パーティション、電気・LAN配線などを決定します。企業のブランドイメージを体現するデザインが求められます。
- 業者選定・発注:デザイン会社、内装工事業者、オフィス家具メーカーなどに見積もりを依頼し、発注先を決定します。
- 各種工事:内装工事、電気・電話・LAN工事、防災設備工事などを実施します。
フェーズ4:引越し・入居フェーズ(移転実行と各種届出)
工事が完了したら、いよいよ引越しです。物理的な移動だけでなく、業務を止めないためのインフラ切り替えが重要になります。
- 引越し作業:引越し業者による荷物の搬出・搬入。廃棄物の処理もこのタイミングで行います。
- 家具・什器の搬入:新規購入したオフィス家具の搬入・組み立てを行います。
- ネットワーク・電話の切り替え:移転直後から業務ができるよう、回線工事と機器設定を完了させます。
- 官公庁への届出:法務局、税務署、社会保険事務所、労働基準監督署などへの移転届出を行います。
フェーズ5:原状回復フェーズ(旧オフィスの明け渡し)
新オフィスへの移転が完了しても、プロジェクトは終わりではありません。旧オフィスを契約時の状態に戻して返却する必要があります。一般的な解約予告の6か月に原状回復期間も含まれていますので注意が必要になります。
- 原状回復工事:パーティションの撤去、床・壁・天井の修繕、クリーニングなどを行います。
- 明け渡し確認:管理会社の立ち会いのもと、オフィスの状態を確認し、鍵を返却して完了です。
- 敷金の返還確認:原状回復費用などが差し引かれた後、敷金が返還されます。
【時期別】オフィス移転の進め方 やることリスト
ここでは、移転希望日の「6ヶ月前」にプロジェクトを開始する標準的なスケジュールを例に、具体的なタスクを時系列で紹介します。1年前から動き出す場合は、この「計画・要件定義」の期間をより長く取り、じっくりとコンセプトを練り上げることができます。
【6ヶ月~1年前】計画・要件定義
この時期は、移転プロジェクトの土台を作る期間です。
- プロジェクトチームの結成:総務・人事・情報システム部門などからメンバーを選出します。
- 現状調査:現在のオフィスの課題(狭い、暗い、会議室不足など)を洗い出します。
- 移転目的(コンセプト)の策定:「コミュニケーション活性化」「生産性向上」など、移転のテーマを決めます。
- 条件設定:移転時期、エリア、坪数、予算を決定します。
- 現オフィスの契約内容確認:解約予告期間(何ヶ月前か)、原状回復の範囲、預託金(敷金)の返還条件などを確認します。
【6~5ヶ月前】物件探し・選定
具体的な物件探しを本格化させます。人気エリアの優良物件はすぐに埋まってしまうため、スピード感も重要です。
- 物件情報の収集:仲介業者への依頼、WEBサイトでの検索。
- 物件内覧: 複数の候補物件を実際に見て比較検討します。
- テストフィット(簡易レイアウト作成):気になる物件に、自社の希望する座席数や会議室が入るか、簡易的な図面を作成して確認します。
- 入居申込み:候補を絞り込み、申込みを行います。
【5~4ヶ月前】物件契約・旧オフィス解約予告
新オフィスの確保と、旧オフィスの解約手続きを同時に進める重要な時期です。
- 賃貸借契約の締結: 重要事項説明を受け、契約書に捺印します。
- 手付金・保証金の支払い: 初期費用を支払います。
- 旧オフィスの解約予告: 解約通知書を提出します。(※契約内容により6ヶ月前のケースも多いのでご注意ください)
- レイアウト・デザインの具体的検討: デザイナーや設計会社と打ち合わせを重ね、詳細な図面を作成します。
- 内装工事・設備工事の見積もり依頼: 複数の業者から相見積もりを取り、比較検討します。
【4~2ヶ月前】オフィスデザイン・内装工事
新しいオフィスの「中身」を作り上げていく期間です。
- 業者決定・発注: 内装工事、ネットワーク工事、電話工事、引越し業者などを決定し、契約します。
- オフィス家具・什器の選定・発注: デスク、チェア、キャビネットなどを選びます。納期に時間がかかる場合があるため早めの手配が必要です。
- 内装工事の開始: 新オフィスでの工事がスタートします。
- 電話・インターネット回線の移転手続き: 回線キャリアやプロバイダへ移転工事の申込みを行います。繁忙期は予約が取りづらいため早めに動きましょう。
【2~1ヶ月前】引越し準備・各種届出
物理的な移動に向けた準備と、対外的な案内を行います。
- 社員への説明会: 移転スケジュール、新オフィスのルール、荷造りの方法などを周知します。
- 廃棄物の処理手配: 不要な家具や書類の廃棄業者を手配します。
- 住所変更の案内: 取引先へ移転案内状を送付し、HPや名刺の住所情報を更新します。
- 各種届出書類の準備: 消防署、法務局などへ提出する書類を作成します。
【1ヶ月前~当日】引越し作業
いよいよ移転本番です。
- 荷造り: 個人の荷物、共用キャビネットの中身などを梱包します。
- 引越し作業: 業者による搬出・搬入。当日は立会いが必要です。
- 旧オフィスの原状回復工事: 引越し後すぐに着工できるよう手配しておきます。
- 新オフィスの開通テスト: 電話やネットがつながるか、複合機が動くかなどを確認します。
【移転後】原状回復・運用開始
移転が終わっても、残務処理があります。
- 旧オフィスの明け渡し: 管理会社と立ち会い確認を行います。
- 官公庁への届出提出: 移転後速やかに手続きを行います。
- 新オフィスの運用ルール定着: 新しい働き方がスムーズに進むようフォローします。
オフィス移転のスケジュール管理で失敗しないための3つのポイント
オフィス移転は関係者が多く、不測の事態が起こりやすいプロジェクトです。スケジュール通りに進めるための重要なポイントを3つご紹介します。
ポイント1:移転の目的を明確にし、社内で共有する
スケジュール遅延の最大の原因は「意思決定の遅れ」です。「どの物件にするか」「どんなレイアウトにするか」「どの家具を買うか」といった判断の局面で、基準となる「軸」が定まっていないと、意見が割れて時間が浪費されます。
「コミュニケーションを増やしたいのか」「集中できる環境を作りたいのか」「コスト削減が最優先なのか」。このコンセプト(移転の目的)が明確になっていれば、迷ったときの判断基準となり、スムーズな意思決定が可能になります。経営層とプロジェクトチームの間で、最初にこのコンセプトをしっかりと握り合っておくことが成功への近道です。
ポイント2:タスク漏れを防ぐ「チェックリスト」を活用する
前述の通り、やるべきことは膨大です。頭の中だけで管理するのは不可能ですし、エクセルで管理するにしても項目が多岐にわたります。「回線工事の手配を忘れていた」「消防署への届出が漏れていた」といったミスは、移転直前の大混乱を招きます。
フェーズごとのタスク、担当者、期限を一覧にした「チェックリスト」を作成し、進捗を可視化しましょう。インターネット上で公開されているテンプレートを活用するのも効率的です。
ポイント3:スケジュールには必ず予備期間を持たせる
工事の遅れ、家具の納期遅延、悪天候による引越しの中止など、トラブルは付き物です。また、内装デザインの修正に想定以上の時間がかかることもよくあります。
ギリギリのスケジュールで組んでいると、ひとつの遅れが全体に波及し、移転日に間に合わなくなるリスクがあります。各工程において、1~2週間程度の「バッファ(予備期間)」を設けておくことで、万が一のトラブルにも焦らず対応できます。特に、繁忙期(1月~3月、9月~10月)に移転する場合は、業者や職人の手配が難航するため、より余裕を持った計画が必要です。
スケジュール管理の負担を減らす「ワンストップサービス」とは?
ここまで見てきたように、オフィス移転のタスクは非常に多く、専門的な知識も求められます。通常業務と兼務で担当される方にとっては、これら全ての業者との調整やスケジュール管理は、想像以上に負担となるでしょう。
「物件探し」「デザイン」「工事」「家具」を別々に発注する大変さ
従来の方法では、以下のように各専門業者と個別にやり取りをする必要がありました。
- 物件探し → 不動産会社
- レイアウト・デザイン → 設計事務所
- 工事 → 内装工事会社、電気工事会社、通信会社
- 家具 → オフィス家具メーカー
- 引越し → 引越し業者
これらを別々に発注すると、「窓口が多数になり連絡が大変」「業者間のスケジュール調整を自社でやらなければならない」「トラブルが起きた時に責任の所在が曖昧になる」といった問題が発生しがちです。例えば、内装工事が終わっていないのに家具が届いてしまったり、電源の位置とデスクの配置がズレていたりといったミスが起こりやすくなります。
窓口の一本化でスムーズ!ワンストップで任せるメリット
こうした負担を劇的に軽減するのが、オフィス移転の「ワンストップサービス」です。
ワンストップサービスとは、物件探しからデザイン、設計、工事、家具の手配、引越し、原状回復までを、一社のパートナー企業が一括して請け負う仕組みです。
担当者は、ワンストップ対応の会社1社と打ち合わせをするだけで済みます。業者間の面倒なスケジュール調整や情報共有はすべてプロが代行してくれるため、担当者の負担は大幅に軽減されます。また、トータルで予算管理ができるため、コストの可視化や調整もしやすくなるメリットがあります。
物件探しから内装工事、オフィス家具までトータルサポート
株式会社アーバンプランでは、この「ワンストップサービス」を提供しています。物件探しの段階から、「この物件なら御社が希望するレイアウトが実現できるか」「内装工事費がどれくらいかかるか」といった専門的なアドバイスが可能です。
デザイン性と機能性を兼ね備えたオフィスデザインの提案はもちろん、内装工事、家具販売、ICT環境の構築まで、移転プロジェクト全体をトータルでサポートします。窓口を一本化することで、スケジュール管理の手間を省き、ミスや漏れのないスムーズな移転を実現します。
ご相談はこちらから
綿密なスケジュールを立て、計画的なオフィス移転を実現しよう
オフィス移転は、準備期間を含めると半年から1年がかりの長期プロジェクトです。成功のためには、早期の着手と綿密なスケジュール管理、そして明確なコンセプト設定が欠かせません。
しかし、すべてを自社だけで完結させようとすると、担当者の負担は計り知れません。プロの知見やワンストップサービスを賢く活用することで、リスクを減らし、効率的にプロジェクトを進めることができます。
新しいオフィスは、企業の未来を創る場所です。余裕を持ったスケジュールで準備を進め、社員が生き生きと働ける、理想のオフィスを実現してください。



